アビバグループは、1994年の創業以来、
「お客様の立場に立って考える」という基本精神のもと、アミューズメントを通じて
社会に貢献したい、という一貫した想いで事業活動を続けてきました。
原点は150台の小さなパチンコ店
アビバの1号店である杉田店は、もともと私の父が経営する150台の小さなパチンコ店でした。大きなパチンコ店に挟まれ、経営が傾き閉店した店だったのです。
私は大学を卒業して電気部品メーカーに就職しました。けれど、いつかは自分でパチンコ店を経営したいという想いが心のどこかにありました。もともとパチンコは好きですし、父のお店という思い入れもあったのでしょう。
けれど改装して新規オープンするにはかなりのお金がかかる。サラリーマンの私にそんな蓄えがあるはずがありません。事業に成功している親戚に相談して「親父の店をやりたいというなら貸してやる。その代わりだめだったらうちの会社に勤めろ」という約束で借金をしてスタートしました。
正直なところ、最初はまったくうまくいきませんでした。お客様に楽しんで頂く資金も潤沢にない中、どうやりくりするか。そうしてオープンしてから1ヶ月くらい経ったある日、とうとうお客様が1人になってしまって。その時には「もうダメか」と覚悟しましたね。スタッフも同じ気持ちだったのでしょう。翌日から来なくなってしまったスタッフも少なからずいました。
その1人のお客様は閉店まで打ち続けてくださいました。感謝の気持ちで胸がいっぱいになったことは、今も忘れられません。
「お客様のため」が社員のため、社会のためにつながると信じて
とはいえ、このままでは時間の問題です。でもここであきらめたら、なんのために一度閉店した店をやり直したのかわからない。原点に立ち返り、自分がどうしてパチンコ店を始めたかったのかを考えました。
サラリーマンを経験して、当時のパチンコ業界は少し一般的な社会とはずれているところがあるような印象を受けていたこと。ビジネスの基本は、お客様に喜んでいただくサービスを追求します。当たり前のビジネスを貫き、これから先も一般企業としてずっと続いていくパチンコ店を目指したい。そんな気持ちを改めて見つめ直しました。
そこで、サラリーマン時代に研修などで培った、さまざまなビジネス戦略を駆使して、新しい試みを取り入れていきました。顧客満足度を向上させる工夫や、弱小が強大なライバルに立ち向かう術など、どんどん挑戦していったのです。
我々ができることをいろいろ考えて、とにかくお客様が喜ぶことを考えて、少しずつ取り入れていく。お客様が喜ぶことというのは、経営側としては儲からないことなんですね。それを逆に追求していこうと。お客様が心から満足してくだされば、いずれ満足を提供した側にも利益が返ってくる。それを信じて、営業方針をガラリと変えました。
お客様の心をつかんでいくというアビバの精神はここで築かれ、今も受け継がれているのだと感じます。
目標を定め、変化を恐れず進んでいく
それが間違いでなかったことは、その後の1号店の繁盛ぶりが証明してくれました。そこから金融機関や不動産会社から「この店を経営してみませんか?」とお店を紹介していただけるようになり、ご縁をいただいたお店を成功させることで、自信や信頼を得られていきました。
考えや方針を変えること。私はそれをまったく否定しません。むしろ必要なことだと考えています。
目標を定めることは大切です。これは社員にも、いつも話しています。個人でも企業でも、たとえば1年後に自分がどうなっていたいのか。10年後に会社をどんなふうにしたいのか。そのために、じゃあ5年後には何をしていればいいんだろう。1ヶ月後にはどうなっていればいいんだろう。では1週間後は? 明日は?
そうやって遡っていく。するとそのために今できることを一生懸命することに辿り着きます。そうして目標に向かっていく。その途中で考え方を変えることも、まったく悪いことではありません。優柔不断とか、意志が弱いということではなく、必要だと感じた時に変われる勇気は必要です。
アビバは神奈川県に展開し、地元密着として認知いただいています。地元を大事にすることはもちろんですが、それは神奈川に限ったことではありません。店舗のある場所が我々の地元。だから神奈川県以外にも、ご縁がある場所にはどんどん出店していきます。こだわりや、何かにとらわれることはありません。そしてその地に密着し、周囲の皆様とのつながりを大切に歩んでいきます。
だから、これからどう展開していくんだろうというのが常に楽しみですね。明日どうなっていくんだろうと30年間ずっとワクワクし続けています。
社長室のドアは常にオープン
そうしていつしか30周年。若い頃にはわからなかった「企業の寿命は30年」という言葉の意味を実感しています。起業した経営者も年齢を重ねますし、会社もいろいろと年をとってくるわけです。
だからこそ、いつまでも若々しい会社でいるための努力が必要です。我々自身の努力はもちろん、若い人たちの力を伸ばすための努力はもっと重要だと考えています。
会社がまだ小さな頃は、一人ひとりの顔や動きが見えていました。けれど企業として大きくなれば、どうしても細かいところまで見えにくくなります。点数化などの人事評価も、ある程度は取り入れざるを得なくなります。
この機会に社員の皆さんに伝えたいメッセージは、そんな会社の成長や変化にも食らいついてきてほしいということ。それぞれがスキルを上げていってほしいし、年齢や経験にとらわれず、会社に積極的に発言できる人であってほしいですね。
創業当時は至らないこともありましたが、今は勤務体制も待遇もしっかりしています。自分の時間もしっかり確保できるはず。それをどう生かしていくか。本を読んで、いろいろな人に会って、たくさんの経験を積んで視野を広くもってほしい。家族で過ごしたり、趣味を思いっきり楽しんだり、楽しみながら自分を磨いたり。そういう時間も大切にしてほしい。自分の人生を思う存分謳歌してほしいと思っています。
店舗では、お客様からどんどん声を聞かせていただけるスタッフであること。スタッフから店長へ、そして社内へとお客様の気持ち、要望、いろいろなことを伝えてほしい。そしてもちろん、お客様の声だけでなく、共に働く仲間同士の声もどんどん伝え合ってほしい。
これまでも、これからもそんな想いは変わりません。社長室のドアはいつでも開いています。いつでも会いに来てください。声を聞かせてください。
株式会社アビバホールディングス
代表取締役社長
光山 富夫